こんばんは。
姫路市の完全貸し切りサロン、LOWONIDA hair designの田中です。
本日は、実際のお客様との会話の中でよく出る「癖毛」についてのお話を、ある事例をもとにご紹介します。
癖毛で悩み、これまでいろんな美容室に行ったけれど、なかなか上手くいかなかった。
「自分の髪質ではもうどうにもならないのかもしれない」
そんな半分諦めた気持ちでご来店されたお客様でした。
お話を聞くと、長年ずっと“いかに癖を出さないか”を考えてこられたそうです。
アイロンはもちろん、水分の多いスタイリング剤を使うとその水分で癖が出てしまうから、ドライなワックスを使う。
シャンプー後も、しっとりすると広がる気がしてコンディショナーは使わない。
とにかく「癖を消す」ことを最優先にされていました。
ただ、よくよくお話を聞いてみると、お客様自身は“ストレートでまとまった髪型”が好きだったわけではなく、
「綺麗になれて、自分でも再現できるならお任せしたい」というご希望でした。
そこで僕はこうお伝えしました。
「極力癖を抑えてパサついて見えるより、多少癖が出ても艶がある方が綺麗じゃないですか?」
するとお客様も、
「確かに…」と。
その日はウルフ系のデザインにカットし、濡れた状態でムースをつけて、ブラシもアイロンも使わず、ドライヤーのみで仕上げました。
お客様は「これなら自分でも出来そう」と、ムースを購入して帰られました。
そして最後に、「こんなに楽で綺麗になれるなんて思わなかった」と言ってくださいました。
もちろん今回のスタイルも、
・癖が出た時のバランス設計
・似合わせ
・質感のコントロール
など、技術的な部分は大切です。
ですが今回、一番大きかったのは“発想の転換”だと思っています。
ここで一旦、癖毛の話は忘れてください。

この写真のAとB。
どちらが「まとまりやすい髪型」に見えるでしょうか?
おそらく、多くの方はBと答えると思います。
実際、お客様だけでなく美容師さんでも、「レイヤーを入れると収まらない」という声はよく聞きます。
ですが例えば、
Aの髪型でサイドの1束、2束が少し跳ねた場合。
Bの髪型で同じようにサイドが跳ねた場合。
気になるのは、おそらくBではないでしょうか?
僕はヘアデザインを作る時、“ストライクゾーン”を考えています。
簡単に言えば、無造作なデザインであればあるほど、その日のコンディションによって多少崩れてもデザインとして成立しやすい。
逆に、ボブのように面で作るスタイルは、収まりやすい反面、少しの乱れや粗が目立ちやすいという側面もあります。
もちろん、ボブが好きな方を否定したい訳ではありません。
実際、僕自身ボブのデザインはとても好きですし、何ならかなり得意なスタイルです。
ボブの中でも“ストライクゾーン”を広げる方法はたくさんあります。
ラインをしっかり作り込んだスタイルも、もちろん正解です。
大切なのは、髪質・ライフスタイル・その方の求める雰囲気に対して、どのデザインがフィットするかだと思っています。
今回は癖毛を例にお話しましたが、
この“ヘアスタイルのストライクゾーン”という考え方は、癖毛の方だけに当てはまるものではありません。
朝あまりスタイリングに時間をかけられない方。
仕事で動き回ったり汗をかく方。
湿気の多い日など、毎日コンディションが完璧ではない中でも、
「多少崩れても様になるかどうか」
という視点は、ヘアスタイルを考える上でとても重要だと思っています。
冒頭でご紹介したお客様も、
「癖で広がるから、とにかく収まりよく」
という考えから、今までの美容室ではBのような方向性を目指してこられたようでした。
ですが今回、僕が提案したのはAのようなデザインです。
この考え方は、欧米のカーリーヘアの方をカットする時の発想にも少し似ています。
極論ですが、アフロヘアの方にストレートボブをおすすめすることは少ないですよね。
もちろん、欧米の文化や技術がそのまま日本人に当てはまるわけではありません。
ですが、そこには日本人の髪質を考える上でもヒントになる発想がたくさんあります。
LOWONIDAでは、お客様一人ひとりの髪質やライフスタイルに合わせながら、
「無理に髪を変える」のではなく、
“その人らしく綺麗に見えるデザイン”を日々模索しています。
髪質で諦める前に、発想を少し変えるだけで、今までより楽に、そして綺麗になれることもあります。
同じ悩みをお持ちの方のヒントになれば嬉しいです。
