セルフカラーはなぜ傷む? LOWONIDAが考えるヘアカラー

今日は、お客様とのカウンセリングでもよくお話しする「ヘアカラー」について書いてみたいと思います。

よくお客様から、「自分でカラーすると髪が傷みますよね?」と聞かれることがあります。

「セルフカラー=必ず傷む」と単純に言い切れるものではありません
ただ、セルフカラーを繰り返すことで、髪や頭皮への負担が大きくなりやすい理由はあります。

僕は大きく分けて、「塗り方」と「薬剤の設定」の2つだと考えています。

目次

① 必要のないところまで染めてしまう

例えば、「伸びてきた根元の白髪だけが気になる」という場合。

美容室であれば、基本的には新しく伸びてきた根元だけを狙って薬剤を塗ります。

・毛先まで染める必要がなければ塗らない。
・毛先の色も整えたいのであれば、根元とは違う、より負担を抑えた薬剤に変える。

このように、髪の状態に合わせて「どこに、どの薬剤を使うのか」を変えています。

一方、自分で後頭部まで確認しながら、伸びてきた根元だけをきれいに塗るのはかなり難しいと思います。
その結果、すでに染まっている部分にも毎回カラー剤が重なり、本来染める必要のない髪にも繰り返し薬剤が作用する。

これがセルフカラーでダメージが蓄積しやすい理由のひとつです。

② 市販のカラー剤は「いろいろな髪を染める」必要がある

もうひとつが、薬剤の設定です。

簡単に説明すると、一般的なヘアカラーでは、
・色味や明るさなどを決める「1剤」
・薬剤の作用を調整する「2剤」

を混ぜて使用します。

美容室では、お客様のご希望、髪質や現在の状態、これまでの履歴などを見ながら、この薬剤設定を変えています。

一方、市販のカラー剤は、どんな方が使用するのか分かりません。
白髪が多い方かもしれませんし、髪が太く硬く、染まりにくい方かもしれません。
それでも商品としては、幅広い髪質に対してある程度きちんと「染まる」必要があります。

そのため、その方には本来そこまでの作用が必要ではなくても、髪や頭皮に必要以上の負担をかけてしまう場合があります。

さらに先ほどの「以前染めた部分にも薬剤が重なる」という問題が加わることで、髪のダメージも蓄積しやすくなります。

白髪で考えると、ヘアカラーの仕組みが分かりやすい

白髪のない黒髪の方が、「かなり明るい髪にしたい」と言ったら、
「髪が傷みそう」「強い薬剤が必要そう」というイメージを持つ方は多いと思います。

では、白髪はどうでしょうか?
白髪は、すでに「白」からスタートしています。

その白髪を黒や濃いブラウンまでしっかり染めようとすると、それだけ薬剤にも作用が必要になります。

でも、白髪が気になるからといって、必ずしも白髪をすべて濃く染める必要はありません。

例えば、「黒髪が少し明るくなれば、白髪はそのまま残っていても気にならない」という方もいらっしゃいます。
反対に、「黒髪はそのままでいいけれど、白髪が真っ白でなければ、ベージュやライトブラウンくらいで十分」という方もいらっしゃいます。

つまり大切なのは、白髪をすべて隠して一色に揃えることではなく、黒髪と白髪のコントラストをどのように見せるのかという考え方です。

最近よく聞く「白髪ぼかし」も、必ずしもハイライトを入れる方法だけではありません。

黒髪にはほとんど変化を与えず、白髪にだけ薄くブラウンを入れることで、もともとの白髪を自然なハイライトのように活かすこともできます。

「明るい=傷む、暗い=優しい」ではありません

ここまでのお話からも分かるように、髪への負担は仕上がりの明るさだけでは判断できません。
・黒髪をかなり明るくする。
・白髪をしっかり暗くする。
どちらも、もともとの状態から大きく変化させるという点では同じです。

髪や頭皮への負担をイメージするときは、
「明るいか、暗いか」ではなく、「自然な髪からどのくらい大きく変化させるのか」
と考えていただくと分かりやすいと思います。

これは縮毛矯正やパーマなど、ほかの薬剤を使う施術でも基本的な考え方は同じです。

大切なのは「どこまで薬剤の力が必要なのか」

当店でカラーをしていただいているお客様には、こういったこともご説明しながら薬剤を調整しています。

・白髪を完全に隠したいのか。
・黒髪を少し明るくすることで、白髪とのコントラストを弱めるのか。
・黒髪は変えず、白髪にだけ薄く色を入れるのか。
・次に白髪が伸びてきたときのつながりを、どのくらい自然にしたいのか。

こういったご希望をカウンセリングの中でお聞きしながら、その仕上がりを叶えるために、どこまで薬剤の力が必要なのかを考えています。

そして何度か担当させていただく中で、その方が満足できる仕上がりに対して、どこまで薬剤の作用を抑えられるのかも見極めていきます。

僕が大切にしているのは、「髪だけでなく頭皮への負担もできる限り抑えながら、その方の希望する仕上がりを叶えること」です。

ヘアデザインにとって、髪そのもののコンディションはとても重要です。
そして、長くヘアカラーを続けていくことを考えれば、頭皮への負担についても同じように考える必要があると思っています。

だからといって、「カラーも必ず当店でしてください」ということではありません。
実際、当店にカットで来られているお客様で、ご自宅ではカラートリートメントを使って白髪を軽くぼかし、黒髪はそのまま活かしている方もいらっしゃいます。

ご予算やライフスタイルも含めて、その方に合った方法を選べばいいと思っています。

最後に、さらに専門的な話

ここまで、できるだけ分かりやすくするために、ヘアカラーの仕組みをかなり簡略化してお話ししました。
実際のヘアカラーは、もっと複雑です。

また、僕自身が長くイギリスで美容師をしてきたこともあり、今回の説明には、イギリスで学び、実際に使ってきたヘアカラーの考え方も入っています。

例えば、先ほど「2剤のパワー」という表現をしましたが、酸化染毛剤などに使用される過酸化水素濃度は、日本では法規制上6%が上限です。
一方、ヨーロッパでは最大12%まで使用することができ、僕自身、イギリスで働いていたときには12%の2剤も使用していました。

そのため、日本のヘアカラー剤では1剤側にもリフト力のある設計になっているため、そこも含めて薬剤の作用を考える必要があります。
当店では、必要に応じてカラー剤を希釈するための専用のトリートメント剤などを組み合わせながら、薬剤の作用を細かく調整しています。

その方の髪や頭皮の状態、そして求める仕上がりに合わせて、必要な薬剤の力を見極める。

ヘアカラーは「何色を使うのか」だけではなく、
「その色を、その髪に、どのくらいの力で作用させるのか」
まで考えると、とても奥深い技術です。

カラーを当店でされていない方でも、白髪やダメージ、ご自宅でのケアについてなど、カット中に相談していただくのはウェルカムです。
その方の髪やライフスタイル、ご予算も含めて、無理なくきれいに保てる方法を一緒に考えられたらと思います。

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