無造作に見えて計算されたレイヤースタイル― なぜ僕は梳きばさみを使わないのか ―

こんばんは。
姫路市の完全貸し切りサロンLOWONIDA hair designの田中です。

本日は美容師さんやお客様からよく質問される、
「梳きばさみを使わずにどうやって質感を作っているのか」
について、ほんの一例をご紹介したいと思います。

まずはこちらの仕上がりをご覧ください。

今回のお客様は、直毛で柔らかく、動きが出にくいことがお悩みでした。
まとまり過ぎるスタイルよりも、少しラフで無造作な質感がお好み。

欧米ではよく「messy(メッシー)」と表現される質感です。
messyには「散らかった」「乱雑な」といった意味がありますが、ヘアスタイルでは日本でいう「無造作」や「こなれた雰囲気」に近いニュアンスで使われます。

日本では艶のある綺麗な髪が好まれる傾向がありますが、欧米ではあえてドライな質感を楽しむ文化もあります。
ドライテクスチャースプレーやソルトスプレーを使い、海上がりのような質感を作ることも珍しくありません。

目次

なぜ僕は梳きばさみを使わないのか

美容師によって考え方は様々です。
僕は梳きばさみを基本的に使いません。

理由はシンプルで、その方が再現性の高いヘアスタイルを作れると思っているからです。

梳きばさみは短時間で髪を軽くできる便利な道具です。
しかしヘアスタイルの中に様々な長さの短い毛が生まれます。

その状態が繰り返されると、手触りやまとまり、伸びた後の扱いやすさに影響すると僕は考えています。
美容師によって考え方は違いますし、正解は一つではありません。
ただLOWONIDAでは、髪を無造作に減らすのではなく、各エリアごとの長短の設計などによって動きや軽さを作る方法を選んでいます。

LOWONIDAのカットで大切にしていること

今回のお客様の場合、多くの美容師さんなら長さを切り、梳きばさみで質感を作るかもしれません。
僕が選んだ方法は違います。

髪を細かく分け取り、それぞれのセクションごとにレイヤーを設計していく方法です。

実際のカット中の様子です。
髪を細かくブロッキングし、どこにどれだけの長さの差を作るのかを考えながらカットを進めていきます。

アウトラインはシンプルでも、内部には計算された長短差が存在します。
その積み重ねによって髪が動いた時の表情や空気感が生まれます。

細かなパーツごとにデザインを作り、最後に全体の調和を整えていく。
そんなイメージです。

なぜそこまで細かく切るのか

この様な方法は正直に言うと時間も手間もかかります。
ですが大きなメリットがあります。

次回来店時も同じ設計図でカットできることです。

今回どこにレイヤーを入れたのか。
どこに長さを残したのか。
どこに動きを作ったのか。

それを把握した状態で次回もカットできるため、再現性が高く、伸び方も綺麗になります。
スタイルチェンジをする場合も設計しやすくなります。
そして無造作に短い毛が増えないため、手触りも自然です。

仕上げで作ったのは質感だけ

カット後はドライヤーで風を色んな方向から当てながら、あえて髪を崩していきます。
風を当てながらドライテクスチャースプレーを使用し、少しパサっとしたラフな質感をプラスしました。

ですが、その質感を支えているのはスタイリング剤ではありません。
カットによって作られた空間や長短差です。

スタイリング剤だけでは再現できない部分を、カットで作っているという感覚に近いかもしれません。

お客様からは見えない部分かもしれません

僕は毎日お客様の理想に向かって、工夫しながら細かくカットをしています。
お客様から見れば違いが分からないような細かな調整もたくさんあります。

リピーターのお客様に対しては毎回前回との勝負だと思っています。

前回より少しでも扱いやすく。
前回より少しでも綺麗に。
前回より少しでも満足して頂けるように。

そんな気持ちで仕事をしています。

もっと上手くなるために

今回の技法は一例に過ぎません。
髪質も骨格も生え方も、そして好みもお客様によって全く違います。

だからこそ、一人ひとりに合わせて長さや重さ、質感の作り方を考えながらデザインしています。

なぜLOWONIDAのカットに時間がかかるのか。
その理由の一部が今回の内容です。

これからも様々な角度からヘアスタイルを考え、技術を磨き続けます。

ご自宅でも扱いやすく、次回来店まで快適に過ごせるヘアスタイルを目指して。
「あそこに行けば安心」
そう思って頂ける美容師であり続けたいと思います。

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